こたつ日和

徒然なるままに。雑記

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異界の女工哀史 ~「お初の繭」

読み始めたら一気です。

日本ホラー小説大賞「大賞」受賞作です。

神さま、仏様、どうかどうか、妹たちをこの地獄へ寄こさないでござい!

「女工哀史」とか「ああ、野麦峠」とか、近代史のなかで、製糸工場に勤めた女工たちの辛い勤めの話は数々の文学作品になっています。
これもまた、異界の女工哀史。しかし、すこぶるつきの残酷さを湛えて展開される女工哀史です。
貧しい村から、生糸工場に働きに出される娘達。娘達は、働いて働いて、いつか模範工女となって年季明けし、故郷に錦を飾る事を夢見つつやってきます。
そう、まともな「生糸」の工場ならば、それは叶えられたかもしれません。
しかし、この工場は違ったのです。
模範工女となるのも地獄、そしてもう一つの道も地獄。どちらの路を行くにしても、「ヒトである事」を捨てなければなりません。大人の欲が、思惑が、彼女達をヒトでなくしてしまいます。そして、彼女達のあるものは、自らヒトである事を捨ててしまいます。それは、絶望ゆえに。
年端もゆかぬ少女達の地獄。ほとんどの少女達はそれが地獄であることにも気付かず、利用されてしまいます。気付かずにいられたことは幸福です。しかし、知ってしまったお初・お千代・お清の三人には、三様の地獄が待ち構えていたのです。

選評にもあるように、話のオチは読み始めると大体想像できてしまいます。しかし、登場人物それぞれが、適材適所に配置されているようで、意外と飽きさせません。また、御伽噺のような文体が却って空々しさ、嘘寒さを醸し出しています。絡めとられていくお初の状況を哀れむような言葉が、どうやっても逃れられないお初を嘲笑うような冷淡さを感じさせます。

読み終われば、私達も「人繭」の中に囚われてしまったように感じると思います。

最近の「賞」モノでは、非常に「面白い」話でした。


今日から連休なので、年末大掃除に向けて部屋の片付けです。
本を読んでる時間は・・・あるかな?・・・いや、きっとひねり出すことでしょう。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

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