こたつ日和

徒然なるままに。雑記

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さまよう女たち ~「新宿遊女奇譚」

若くもなく、老いたと開き直るには早すぎる。そんな微妙な齢の女達が過去と未来をさまよっています。

新宿遊女奇譚 (MF文庫ダ・ヴィンチ)新宿遊女奇譚 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
(2011/04/25)
岡部 えつ

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江戸の時代から現代まで、短いようで長い年月、新宿を舞台に、狭間を行き交う女達を描いた、4つの短編からなる連作作品集です。特に、「おかめ遊女」と「顔のない女」のクロスオーバーは面白かったです。
「おかめ遊女」では、宿場町・内藤新宿の飯盛旅籠・紅木屋におかめの面をつけた女の幽霊が現れます。ある事故で、顔をなくして死んでしまった遊女・千代乃の幽霊だ、と評判になるのですが…。「千代乃の幽霊」を巡る遊女・小梅、橘太郎、新吉の気持ちの揺れ、思いのすれ違いが切ない話です。しかし、この話で登場したおかめの面をかぶった女の幽霊が、最後にどんでん返しを運んできます。
「少女人形」に登場する「わたし」は、女同士の見栄の張り合いにも、不倫関係にも倦んでしまった四十女。少女人形の由来を聞きながら、その興行の「表」と「裏」を見ながら、揺らいでくる自分の価値。そして、自分の居場所をどこにも見出せない「わたし」は酉の市の喧騒の中に埋もれていきます。
「壷」では、以前「幽」文庫通信や「枯骨の恋」ででてきたアブレバチの話がちょっと出てきて、ファンにはちょっと嬉しいところ。老女が、壷の中に見ていた弟は。ここに出てくる「わたし」も7年交際した男に一方的に別れを宣告され、よりどころがなくなってしまった女です。
そして、最後の「顔のない女」へ、物語は収束していきます。主人公「弥子」は、見た目はキャリアウーマンですが、家庭は冷え切り、仕事もうまくいっているとは言いがたい、やはり四十女。新宿で「おかめ」の面をつけてそぞろ歩く女に出会い、彼女は「つい」後をつけていってしまいます。現代の新宿で、東京で、現実で、弥子をつなぎとめるようなものはもはやなく、彼女は「おかめ」の面をつけてさまよいはじめます。不確かな視界そのままに。
若さが味方をしてくれた時はもはや過ぎ去り、漠然とした、しかしどこか確かな不安を抱え込んだ女達。こういう妙な「生々しさ」は、男性には書けない、描ききれないと思います。正直、ここで書かれている女達に反感を持つこともありますが、何か、真実を突きつけられたいたたまれなさみたいなものを感じてしまうのは、事実です。

「怪談」的怖さとは、少々趣が異なってはおりましたけどね。
面白く読ませていただきました。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

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